仕様書はシステム開発プロジェクトの成功を左右する重要な書類です。本記事では、システム開発における仕様書の基本的な定義や必要性、種類、そして効果的な書き方のポイントを詳しく解説します。スムーズなシステム開発プロジェクトの一助になれば幸いです。
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システム開発における仕様書とは、開発するシステムの機能や性能、操作時の仕様などを記載した書類です。仕様書を正確に作成することで、開発プロジェクトの進行がスムーズになり、予期せぬトラブルを未然に防ぐことにもつながります。また、システム開発の仕様書は、システム開発の依頼者と依頼先の開発会社のコミュニケーションを円滑にする役割もあります。
要件定義書は、システム開発の初期に作成する書類で、開発するシステムの目的や目標などの概要を明確にするためのものです。一方で仕様書は、要件定義書を基にシステム機能などについてより詳細に記述する書類です。
要件定義書が「何を実現するか」を示すのに対し、仕様書は「要件定義書に記載した内容を実現するために何が必要か」を示す点で違いがあると言えるでしょう。
仕様書が「開発するシステムの機能や性能」を示すのに対し、設計書は「仕様書の内容を実現するための過程」を示す書類で、内容には技術的な方針や構造などが含まれます。
仕様書は、システム開発の依頼者が確認する場合もありますが、設計書は基本的に開発会社の内部資料として扱うことが多いという点でも違いがあります。
システム開発における仕様書にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる役割があります。以下では、システム開発で作成することの多い仕様書の種類とその特徴について紹介します。
要求仕様書は、システム開発の依頼者が作成し、依頼先のシステム開発会社へ提出する仕様書です。開発するシステムに必要な機能や性能、操作性について要求事項を記載します。
外部仕様書は機能仕様書、基本設計書と呼ぶこともあります。システム開発会社が作成し、システム開発の依頼者へ確認する場合もあります。
外部仕様書には、開発するシステムの機能や画面の仕様、システムで対応する入出力データの種類やファイル形式などが含まれます。
内部仕様書は詳細仕様書、詳細設計書と呼ぶこともあり、開発会社が内部資料として作成する場合もあることから「設計書」として扱うこともあります。
内部仕様書は、システムの各部分の設計や実装方法といった技術詳細を記載する仕様書で、機能仕様書と技術仕様書に分けることもあります。
機能仕様書には開発するシステムの操作手順やテスト要件など、技術仕様書にはデータベースの設計方針や利用するツール、データの出入力の仕様、アルゴリズムなどが含まれます。
効果的な仕様書を作成するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。以下では、仕様書作成時の具体的なポイントや注意点を説明します。
システム開発における目的や目標の具体例として、以下のような記述が考えられます。
目的や目標が明確なことで、開発するシステムの評価や問題発生時の対応が明確になり、システム開発の効率や、最終的なシステムの品質向上などにつながります。
仕様書では、システム開発プロジェクトの関係が全員が容易に理解できるよう、専門用語や技術的な表現を避け、わかりやすい言葉遣いで記述することが大切です。
たとえば、以下のような記述が例となります。
システム開発の仕様書に図表を入れ、視覚的に情報を伝えることもおすすめです。開発するシステムの仕組みや構造をより分かりやすく記述することで、開発プロジェクトの関係者が共通認識を持ちやすくなり、開発プロジェクトの円滑化につながります。
システム開発における図表は、具体的には以下などがあります。
システムの操作フローや流れを視覚的に示すために使用します。例えば、システムの利用者がログイン後、ホーム画面から検索し、必要な情報にアクセスするまでの流れをフローチャートで示すことで、操作の手順が明確になります。
概念モデルとは、システム内に存在する要素の構造やデータの流れを示す図です。たとえば「アカウント情報」の中にどのような項目が含まれているか(顔画像、年齢、性別など)などを視覚化することにより、データの関連性が一目でわかります。
複数パターンなど、複雑な情報を整理して示すために使用します。例えば、システムの機能一覧やステータスなどを表形式で示すことで、情報が整理され、抜け漏れの防止にもつながります。
システム開発の仕様書では、必要に応じて画像を入れることで、具体的なイメージを共有しやすくなります。
たとえば、各画面や、操作時の要素の変化(例:ボタンをクリックすると色が変わるなど)のスクリーンショットなどを入れると良いでしょう。
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